寝苦しさ指数
算出ロジック
本サイトのスコアは、感覚的なアンケートではなく、**空気調和工学に基づく物理計算**によって算出されています。
その中核となるアルゴリズムとパラメーター設定を公開します。
1. 基礎物理モデル (Psychrometrics)
室内の「不快」を定義するため、まずは湿り空気線図 (Psychrometric Chart) 上での空気の状態を計算します。 飽和水蒸気圧の導出には、気象学で標準的に使用される **Tetens (テーテンス) の式** を採用しています。
※ T: 気温(℃), E: 飽和水蒸気圧(hPa)
これにより、相対湿度(RH)だけでなく、実際の空気中の水分量を示す**容積絶対湿度 (VH)**を正確に把握し、隠れ脱水や結露リスクを判定しています。
2. 住宅性能係数 (Building Physics)
「エアコンをつけても暑い」現象を再現するため、住宅の断熱性能(UA値相当)と気密性能をパラメーター化しています。 外気温の影響が室温に波及するまでの「熱的時定数」を、建物の構造ごとに以下のように定義しています。
| 木造 (Wood) | 断熱性:低 / 熱容量:小 外気の影響をダイレクトに受けやすく、夜間の温度低下が早い。 |
|---|---|
| RC造 (Concrete) | 断熱性:中 / 熱容量:大 コンクリートへの蓄熱により、夜間も室温が下がりにくい(熱帯夜リスク増)。 |
| ZEH (High-Insulation) | 断熱性:高 / 気密性:高 魔法瓶のように室温を維持する。エアコン効率が最も高い。 |
3. スコアリングアルゴリズム
以上の物理計算で得られた「室温・湿度」と、「理想値(夏26℃/50%など)」との乖離(ペナルティ)をベースに、 デバイスによる緩和係数(ボーナス)を減算してスコアを決定します。
A. 不快ペナルティ (Base Punishment)
人体の温熱感覚特性(PMV理論の簡易モデル)に基づき、温度・湿度のズレを二乗則に近い重み付けでペナルティ化します。
B. 緩和係数 (Mitigation Factors)
物理的な温湿度だけでなく、睡眠の質(深部体温の低下しやすさ、入眠潜時)に影響するデバイスの使用状況を「緩和係数」としてスコアから差し引きます。 これにより、**「多少暑くても、通気性の良い寝具とサーキュレーターがあれば眠れる」**という実感を数値化しています。
- 接触冷感・通気性寝具: 放熱効率向上によるスコア改善 (-10pt)
- 適切な枕: 気道確保と寝返り円滑化によるストレス低減 (-5pt)
- 騒音・照明対策: 覚醒レベル低下による入眠支援 (-15pt)
C. 最終スコア (Final Score)
結果として、スコアは以下のように判定されます。
- 🔴 +80以上 : 極めて危険(不眠症リスク)
- 🟠 +50前後 : 寝苦しい(睡眠負債のリスク)
- 🔵 0付近 : 標準的(可もなく不可もなく)
- 🟢 -50以下 : "至高の眠り"(回復効果の最大化)
参考文献・出典元
- 厚生労働省: 健康づくりのための睡眠ガイド2023
- 環境省: 熱中症予防情報サイト(不快指数とWBGTの相関関係)
- 気象庁: 湿度・気圧・日照時間について(不快指数の計算式)
- 日本建築学会: 建築環境工学における温熱環境評価指標の策定に関する研究
- Murray, F.W. (1967): "On the Computation of Saturation Vapor Pressure", Journal of Applied Meteorology (Tetens式の有効性に関する検証論文)
- 日本睡眠学会: 睡眠環境整備がもたらす深部体温の変化と入眠効率への影響
※本サイトは上記専門機関のデータおよび物理定数を元にシミュレーションを行っていますが、個人の体感や住環境により結果は異なります。